はじめに
ブランド運営において、広告予算の最適化は永遠の課題です。
特にリピート購入が重要なアパレル・ライフスタイルブランドにとって、「すでにブランドを知っている既存のお客様」に広告を出し続けてしまうことは、予算の重複消費に他なりません。
弊社が運営するD2Cブランド「seven dot」でMeta、Google、LINEの主要3媒体において、既存顧客を完全に除外しながら新規客にのみリーチする「鉄壁の運用体制」を構築しました。この記事では実施した内容と、これからのデジタルマーケティングで外せない注意点をお話します。
「既存顧客除外」がもたらす劇的なROAS改善
今回、私たちが最優先で取り組んだのは、保有している顧客リスト(メールアドレス等)を各プラットフォームにハッシュ化してアップロードし、広告配信から「除外」することです。
Meta広告の成果: 除外設定を適用した直後、フリークエンシー(1人あたりの接触回数)は2.55から1.28へと劇的に低下。これは、同じ人にしつこく広告を出すのではなく、常に新しいお客様へ予算が届いていることを意味します。
Google PMAXの最適化: Meta同様に除外設定を実施し、「新規顧客のみを重視する」モードを起動。AIが既存客への配信を自動で抑制し、ブランドの未来を支える「新しい出会い」にリソースを集中させる体制を整えました。
計測の「落とし穴」:クロスドメイン設定の重要性
今回の運用で直面した最大の技術的課題は、ドメインの断絶による計測漏れでした。 私たちはLPをWordPress(special.seven-dot.com)、カートをBASE(www.seven-dot.com)で運用していますが、LINE Tagのデフォルト設定ではこの2つのドメインを跨ぐユーザーを追跡できません。
クロスドメイントラッキングを有効化し、ファーストパーティーCookieを正しくリレーさせる設定を行うことで、ようやく「誰がどこで興味を持ち、どこで購入したか」というデータが一本の線に繋がります。この設定が行われていなかったため、CVが時間が経っても0のままで、データが繋がっていませんでした。
データを繋げることで初めて、AIは正しい学習を開始できるため、設定変更を実施しました。
LINEヤフー広告の誕生と、運用の次世代フェーズへ
本日、2026年4月1日。日本のデジタル広告界において大きな転換点となる「LINEヤフー広告」への統合が行われました。 これまで分断されていたプラットフォームが一つになることで、より精緻なユーザーデータに基づいたターゲティングが可能になります。私たちは、この新システムの移管期間を活用し、さらなる最適化を進めていきます。
これからの「Good Things」が目指すマーケティング
デジタル広告は、単なる「集客ツール」ではありません。ブランドの想いを、それを必要としている人に、適切なタイミングで届けるための「橋渡し」です。 「既存客を大切にしながら、新規客には新鮮な驚きを届ける」。この当たり前をデータと技術で支えることが、これからのD2Cブランドには求められています。
ブランドの中には広告を嫌い、配信を行わない戦略を取る方も多くいらっしゃいます。既存顧客の膨大なリストがあったり、SNS集客の導線が確立されていれば、それも良いかもしれません。
しかし多くのブランドは0→1の立ち上げを経験します。その過程においては、適切な広告戦略を構築し、実行するのも大切な流れになります。
最後に
今回の設定変更は、あくまでスタート地点です。計測が整い、無駄打ちがなくなった今、私たちの視線は「クリエイティブの質」と「お客様との継続的なコミュニケーション」へと向いています。
これまで広告の配信設定は媒体ごとの機能の違いや管理画面の複雑さ、また計測するためのコードの埋め込みといった専門的な知識を必要とすることが多く、媒体によってはサポートのレベルにも違いがありました。
現在はAIが台頭したお陰で、これらの知識に適格にリーチすることができ、解決も早くなっていると思います。一方で解決するにはAIから適切に最短で回答を返却するための、問いかけのクオリティも重要になります。ここはまだまだシステムの知識がある人のほうが、AIに対して適切な情報のインプットができるという状況は変わりません。
これからも、テクノロジーの経験を活かしながら、数字の向こう側にいる一人ひとりのお客様を想像しながら、丁寧なブランド運営を続けてまいります。










